青森県東方沖を震源とする大きな地震により被害に遭われた皆さま、
そして、ご家族や大切な人が影響を受けられた皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
ニュースや警報、SNSの情報を見続けているうちに、
自分の住んでいる場所が震源から離れていても、胸がざわざわしたり、落ち着かなくなったりしている方も多いと思います。
大きな揺れや津波の映像を見たあと、人の心には次のような反応が出ることがあります。
- ちょっとした物音や揺れでも、過敏に反応してしまう
- 眠りが浅くなったり、夜中に目が覚めやすくなる
- 以前のつらい出来事や、過去の災害の記憶がよみがえってくる
これらは「弱いから」でも「メンタルがダメだから」でもなく、
危険から身を守るために、心と体がフル稼働しているときに起こる、とても自然な反応です。
もし今、「自分はおかしいのかな」「こんなことで不安になるなんて情けない」と、
自分を責めている部分があるとしたら、まずその責める声を少し脇に置いてみてください。
ここでは、今回のような出来事のあとに、自分でできる心のケアをいくつかお伝えします。
1.「怖い」と感じている自分を、否定しない
「大した被害も出ていないのに、怖がるなんて…」
「もっと大変な人がいるのに、自分なんかが不安を言ってはいけない」
こうやって、自分の感情を“上から押さえつける”ことは、心の苦しみを長引かせてしまいます。
感じていることそのものに、正しい・間違いはありません。
まずは心の中で、静かにこう言ってみてください。
「怖かったんだね」
「不安になっても無理はないよ」
自分の中の反応を、評価ではなく「事実」として認めることが、回復の最初の一歩です。
2.情報との距離を、自分で調整する
不安なときほど、私たちは画面から目を離せなくなります。
しかし、心がすでに疲れているときに、強い映像や言葉を浴び続けると、
「心の傷口」に砂をかけ続けるような状態になってしまいます。
- 1日にニュースを見る回数や時間を決める
- 同じ映像を何度も見続けない
- SNSで不安が煽られると感じたら、一時的に距離を置く
など、情報の量を「自分で選ぶ」ことを意識してみてください。
不安をゼロにするためではなく、「これ以上、心に負担をかけすぎないための境界線」を引くイメージです。
3.体を落ち着かせることで、「心の土台」を整える
頭の中が不安でいっぱいのとき、考え方を変えようとしても、うまくいかないことがあります。
そんなときは、思考より先に「体」を少し楽にしてあげることが役に立ちます。
たとえば、
- ゆっくり長く息を吐くことを、数回くり返してみる
- あたたかい飲み物を、味わいながら少しずつ飲む
- 肩や首まわりを、痛くない範囲でゆっくり回す
こうした小さな行動でも、神経の緊張をゆるめ、「今ここ」に戻る助けになります。
4.「弱さ」ではなく「助けを求める力」を大事にする
今回の地震が直接のきっかけでなくても、
これを機に、長いあいだ心の奥にしまっていた不安や孤独感が強くなる人もいます。
「人に話しても迷惑だろう」「これくらい自分で何とかしなきゃ」
そうやって、ずっと一人で抱えてこられた方も多いはずです。
しかし、本当に心が苦しくなったときに、
- 身近な誰かに正直な気持ちを打ち明けること
- 公的な相談窓口や、専門家のサポートを利用すること
これは「弱さ」ではなく、自分と大切な人を守るための行動です。
どうか必要に応じて、ひとりで抱え込まず、外の助けも使ってください。
今回の記事が、
「怖がっている自分を責める」のではなく、
「怖がっている自分のそばに立つ」という、新しい向き合い方のヒントになれば幸いです。
一日も早く、被害に遭われた地域に穏やかな時間が戻り、
いま不安の中にいる一人ひとりの心が、少しずつ落ち着きを取り戻していくことを願っています。

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