「日本で嫌がらせが多い地域はどこなのか?」
これは、多くの人が気になるテーマだと思います。
ただし、この問いはかなり慎重に扱う必要があります。
なぜなら、「嫌がらせ」と一言でいっても、職場のいじめ・嫌がらせ、学校のいじめ、家庭内のDV、ストーカー、児童虐待、ネット上の嫌がらせなど、実際にはかなり幅広い問題が含まれるからです。
しかも、公的統計に出ている数字は、必ずしも「実際に起きた嫌がらせの総数」ではありません。
多くの場合、統計に出てくるのは、
相談された件数
認知された件数
警察や行政が把握した件数
です。
つまり、数字が多い地域や分野は、単に問題が多いだけではなく、相談しやすい、発見されやすい、行政が把握しやすいという可能性もあります。
この記事では、厚生労働省、文部科学省、警察庁などの公的データをもとに、「嫌がらせ」に近い問題をランキング形式で整理します。
ただし、最初に大事なことをはっきり書いておきます。
この記事のランキングは、
「その地域の人が嫌がらせをしやすい」ランキングではありません。
正確には、
公的機関に寄せられた相談・認知・通告・検挙などが、どの分野で多く見えているかを整理したランキング
です。
この記事でわかる「嫌がらせ・いじめ・支配」関連データ総まとめ

まず大前提:「嫌がらせ」は1つの統計だけでは測れない
「嫌がらせが多い地域ランキング」と聞くと、1つの統計で全国順位を出せそうに見えます。
しかし、現実にはそう単純ではありません。
たとえば、職場の嫌がらせなら厚生労働省系の労働局データ、学校のいじめなら文部科学省の調査、DVやストーカーなら警察庁データ、児童虐待なら警察庁やこども家庭庁のデータを見る必要があります。
そのため、本記事では次のように分けて見ていきます。
| 分野 | 見るデータ | ランキング化の考え方 |
|---|---|---|
| 職場の嫌がらせ | 労働局の「いじめ・嫌がらせ」相談 | 就業者1万人あたり |
| 学校のいじめ | 文部科学省のいじめ認知件数 | 学校種別・認知件数 |
| ネットいじめ | 文部科学省のネットいじめ件数 | 件数 |
| いじめ重大事態 | 文部科学省の重大事態件数 | 件数 |
| DV | 警察庁の配偶者暴力事案等 | 年代・性別・関係別 |
| ストーカー | 警察庁のストーカー事案 | 年代・関係・行為形態別 |
| 児童虐待 | 警察庁の児童虐待事案 | 類型・罪種・加害者関係別 |
| 私事性的画像被害 | 警察庁の相談等件数 | 年代・関係別 |
ここから、それぞれランキング形式で見ていきます。
1. 職場の嫌がらせ相談率ランキングTOP10
まず、最も「嫌がらせ」という言葉に近い公的データが、労働局に寄せられる 「いじめ・嫌がらせ」相談 です。
厚生労働省によると、令和6年度の民事上の個別労働関係紛争における「いじめ・嫌がらせ」相談は54,987件で、13年連続最多となっています。
ただし、件数だけで見ると、東京、大阪、神奈川など人口や会社数が多い地域が上に来やすくなります。
そこで今回は、より比較しやすいように、
相談件数 ÷ 就業者数 × 10,000
で、就業者1万人あたりの相談率として試算します。
就業者1万人あたり「いじめ・嫌がらせ」相談率ランキング・試算TOP10
| 順位 | 都道府県 | 令和6年度 相談件数 | 2024年就業者数の目安 | 就業者1万人あたり |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 和歌山県 | 564件 | 約45万人 | 約12.5件 |
| 2 | 京都府 | 1,564件 | 約136万人 | 約11.5件 |
| 3 | 三重県 | 989件 | 約89万人 | 約11.1件 |
| 4 | 大阪府 | 5,155件 | 約476万人 | 約10.8件 |
| 5 | 滋賀県 | 780件 | 約77万人 | 約10.1件 |
| 6 | 長野県 | 1,044件 | 約110万人 | 約9.5件 |
| 7 | 北海道 | 2,482件 | 約265万人 | 約9.4件 |
| 8 | 静岡県 | 1,664件 | 約188万人 | 約8.8件 |
| 9 | 鹿児島県 | 682件 | 約79万人 | 約8.6件 |
| 10 | 奈良県 | 527件 | 約62万人 | 約8.5件 |
このランキングで大事なのは、東京が上位に来ていないことです。
件数だけなら東京は非常に多くなります。
しかし、就業者数で割ると、和歌山、京都、三重、大阪、滋賀などが上位に出てきます。
つまり、職場の嫌がらせ相談を見るなら、
単純な件数ランキングより、就業者数あたりで見る方が現実に近い
ということです。
ただし、これは「嫌がらせ発生率」ではなく、あくまで 労働局に相談された率 です。
相談窓口の認知度、相談しやすさ、地域の雇用構造、企業規模、労働者の権利意識などによっても数字は変わります。
2. 学校のいじめ認知件数ランキング
次に、学校での嫌がらせにあたる「いじめ」です。
文部科学省の令和6年度調査によると、小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめ認知件数は769,022件で、令和5年度から36,454件増加し、児童生徒1,000人あたり61.3件となっています。
ここで重要なのは、文部科学省が、いじめ認知件数の増加を単純に悪いこととして見ていない点です。
文部科学省は、いじめ認知件数の増加について、学校が初期段階のものも含めて積極的に認知し、解消に向けて取り組んでいる結果と考え、肯定的に捉えてきたと説明しています。
つまり、いじめ認知件数が多いからといって、
その学校や地域が悪い
とは限りません。
むしろ、いじめを見逃さず、早期発見している可能性もあります。
学校いじめ認知件数・学校種別ランキング
| 順位 | 学校種別 | 令和6年度の特徴 |
|---|---|---|
| 1 | 小学校 | 認知件数が最も多い中心層 |
| 2 | 中学校 | 小学校に次いで多い |
| 3 | 高等学校 | 小・中学校より少ない |
| 4 | 特別支援学校 | 件数は少ないが注意が必要 |
令和6年度のいじめ認知件数は、全体で769,022件です。学校種別では、例年、小学校が最も多く、次いで中学校、高等学校、特別支援学校という構造になります。文部科学省のe-Stat統計表では、令和6年度の「いじめの認知件数の学年別内訳」や「都道府県別・指定都市別 いじめの認知件数及びアンケート実施状況」が公開されています。
ネットいじめ件数ランキング
文部科学省の資料では、パソコンや携帯電話等を使ったいじめ、つまりネットいじめについても集計されています。
令和6年度のネットいじめは27,365件で、前年度から2,687件増加し、過去最多を更新しています。
| 順位 | いじめの種類 | 件数 |
|---|---|---|
| 1 | 通常のいじめ認知件数全体 | 769,022件 |
| 2 | ネットいじめ | 27,365件 |
| 3 | いじめ重大事態 | 1,405件前後 |
ネットいじめは、外部から見えにくく、匿名性が高いため、学校が認知しきれていない可能性があると文部科学省も指摘しています。
つまり、実際のネット上の嫌がらせは、統計に出ている数字より多い可能性があります。
3. いじめ重大事態ランキング
いじめの中でも、特に深刻なのが「重大事態」です。
文部科学省の令和6年度資料では、いじめ重大事態の発生件数は1,405件とされ、前回調査から増加し、過去最多となっています。
いじめ重大事態・内容別ランキング
| 順位 | 重大事態の内容 | 件数 |
|---|---|---|
| 1 | 相当期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いのある事案 | 896件 |
| 2 | 生命・心身・財産に重大な被害が生じた疑いのある事案 | 768件 |
| 3 | 重大事態全体 | 1,405件前後 |
ここで注意が必要なのは、1つの重大事態が複数の類型に該当する場合があるため、内訳の合計が全体件数と単純一致しない可能性があることです。
それでも、この数字からわかるのは、いじめは「子ども同士の小さなトラブル」で片づけられる問題ではないということです。
不登校、心身の被害、命の危険につながる場合もあります。
4. DV・家庭内の嫌がらせランキング
家庭内の嫌がらせや支配、暴力に近い公的データとしては、警察庁の「配偶者からの暴力事案等」があります。
警察庁によると、令和6年の配偶者からの暴力事案等の相談等件数は94,937件で、DV防止法施行後最多となっています。
DV被害者・性別ランキング
| 順位 | 性別 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 女性 | 66,723件 | 70.3% |
| 2 | 男性 | 28,214件 | 29.7% |
DVは女性被害が多い一方で、男性被害も約3割あります。
これはかなり重要です。
DVというと女性被害だけが注目されがちですが、実際には男性被害も一定数あります。
もちろん、深刻な暴力や支配の構造では女性被害が多い傾向がありますが、男性被害をなかったことにしてよいわけではありません。
DV被害者・年代別ランキング
| 順位 | 年代 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 30歳代 | 24,523件 | 25.8% |
| 2 | 20歳代 | 22,375件 | 23.6% |
| 3 | 40歳代 | 20,349件 | 21.4% |
| 4 | 50歳代 | 12,727件 | 13.4% |
| 5 | 70歳以上 | 8,281件 | 8.7% |
| 6 | 60歳代 | 5,326件 | 5.6% |
| 7 | 19歳以下 | 1,320件 | 1.4% |
DV相談では、30歳代、20歳代、40歳代が上位です。
家庭内の嫌がらせや支配は、暴力だけではありません。
無視、脅し、経済的支配、スマホ監視、交友関係の制限、人格否定、子どもを使った支配なども含まれます。
そのため、家庭内の問題は「夫婦げんか」ではなく、支配と安全の問題として見る必要があります。
DV加害者・性別ランキング
| 順位 | 性別 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 男性 | 66,185件 | 69.7% |
| 2 | 女性 | 28,752件 | 30.3% |
加害者側でも、男性が約7割、女性が約3割です。
DV関係性別ランキング
| 順位 | 関係 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 婚姻関係・元含む | 69,496件 | 73.2% |
| 2 | 生活の本拠を共にする交際関係・元含む | 19,148件 | 20.2% |
| 3 | 内縁関係・元含む | 6,293件 | 6.6% |
DVは、現在の夫婦だけではありません。元配偶者、元交際相手、同居関係にある交際相手なども含まれます。
5. ストーカー型の嫌がらせランキング
恋愛関係、元交際相手、職場関係者、知人などからのつきまとい・監視・連絡強要は、ストーカー事案として統計化されています。
警察庁によると、令和6年のストーカー事案の相談等件数は19,567件です。
ストーカー被害者・性別ランキング
| 順位 | 性別 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 女性 | 16,904件 | 86.4% |
| 2 | 男性 | 2,663件 | 13.6% |
ストーカー被害は、女性が圧倒的に多くなっています。
ストーカー被害者・年代別ランキング
| 順位 | 年代 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 20歳代 | 6,740件 | 35.1% |
| 2 | 30歳代 | 4,037件 | 21.1% |
| 3 | 40歳代 | 3,253件 | 17.0% |
| 4 | 19歳以下 | 2,340件 | 12.2% |
| 5 | 50歳代 | 1,819件 | 9.5% |
| 6 | 60歳代 | 594件 | 3.1% |
| 7 | 70歳以上 | 385件 | 2.0% |
20歳代が最も多く、次いで30歳代、40歳代です。
ストーカー加害者・性別ランキング
| 順位 | 性別 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 男性 | 15,327件 | 78.3% |
| 2 | 女性 | 2,487件 | 12.7% |
| 3 | 不明 | 1,753件 | 9.0% |
ストーカー加害者は男性が約8割です。
ストーカーの関係性ランキング
| 順位 | 被害者と加害者の関係 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 交際相手・元含む | 7,258件 | 37.1% |
| 2 | 知人友人 | 2,623件 | 13.4% |
| 3 | 勤務先同僚・職場関係 | 2,459件 | 12.6% |
| 4 | 関係不明 | 2,102件 | 10.7% |
| 5 | 面識なし | 1,722件 | 8.8% |
| 6 | その他 | 1,681件 | 8.6% |
| 7 | 配偶者・内縁・元含む | 1,333件 | 6.8% |
ストーカーは、元交際相手だけでなく、職場関係、知人友人、面識のない相手からも起きています。
ストーカー行為形態ランキング
| 順位 | 行為形態 | 令和6年件数 |
|---|---|---|
| 1 | つきまとい・待ち伏せ等 | 10,476件 |
| 2 | 面会・交際の要求 | 6,186件 |
| 3 | 無言電話・連続電話・メール | 4,189件 |
| 4 | 乱暴な言動 | 2,709件 |
| 5 | 性的羞恥心を害する行為 | 1,078件 |
| 6 | 監視していると告げる行為 | 892件 |
| 7 | 名誉を害する行為 | 641件 |
| 8 | GPS機器等の取り付け等 | 354件 |
| 9 | 汚物等の送付 | 206件 |
| 10 | GPS等による位置情報取得 | 159件 |
ストーカー行為では、つきまとい・待ち伏せ等が最も多く、次いで面会や交際の要求、連続電話・メールが続きます。
これは、かなり具体的に「嫌がらせ」と結びつくデータです。
6. 私事性的画像被害、いわゆるリベンジポルノ型の嫌がらせランキング
現代の嫌がらせで見逃せないのが、性的画像を悪用した嫌がらせです。
警察庁によると、令和6年の私事性的画像に係る事案の相談等件数は2,128件で、法施行後最多となっています。
私事性的画像被害・被害者性別ランキング
| 順位 | 性別 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 女性 | 1,645件 | 77.3% |
| 2 | 男性 | 481件 | 22.6% |
私事性的画像被害・年代別ランキング
| 順位 | 年代 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 20歳代 | 843件 | 39.6% |
| 2 | 19歳以下 | 774件 | 36.4% |
| 3 | 30歳代 | 252件 | 11.8% |
| 4 | 40歳代 | 150件 | 7.0% |
| 5 | 50歳代 | 77件 | 3.6% |
20歳代と19歳以下で大半を占めています。
私事性的画像被害・関係性ランキング
| 順位 | 関係 | 令和6年件数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 交際相手・元含む | 1,047件 | 49.2% |
| 2 | 知人友人・ネット関係のみ | 530件 | 24.9% |
| 3 | 知人友人・ネット関係以外 | 294件 | 13.8% |
| 4 | 関係不明 | 114件 | 5.4% |
| 5 | 配偶者・元含む | 61件 | 2.9% |
| 6 | その他 | 48件 | 2.3% |
| 7 | 職場関係者 | 34件 | 1.6% |
性的画像を悪用した嫌がらせは、交際相手・元交際相手が最も多く、次いでネット上の知人友人が多くなっています。
これは、恋愛関係、SNS、デジタル端末が絡む現代型の嫌がらせです。
7. 児童虐待・家庭内で子どもが受ける嫌がらせランキング
家庭内の嫌がらせや暴力で最も深刻なものの一つが、児童虐待です。
警察庁によると、令和6年の児童虐待事案に係る通告児童数は122,378人で、依然として高い水準で推移しています。また、児童虐待事件の検挙件数は2,649件で過去最多となっています。
児童虐待・通告児童数の類型ランキング
| 順位 | 類型 | 令和6年人数 |
|---|---|---|
| 1 | 心理的虐待 | 90,418人 |
| 2 | 身体的虐待 | 21,534人 |
| 3 | 怠慢・拒否、ネグレクト | 10,080人 |
| 4 | 性的虐待 | 346人 |
児童虐待では、心理的虐待が圧倒的に多く、その中には面前DVも含まれます。警察庁資料では、心理的虐待90,418人のうち、面前DVは52,737人とされています。
つまり、家庭内で親同士の暴力や脅しを子どもが見聞きすることも、子どもへの心理的虐待として大きな問題になっています。
児童虐待事件・罪種別ランキング
| 順位 | 罪種 | 令和6年件数 |
|---|---|---|
| 1 | 傷害 | 1,029件 |
| 2 | 暴行 | 984件 |
| 3 | 不同意わいせつ | 228件 |
| 4 | 不同意性交等 | 162件 |
| 5 | 暴力行為等処罰法違反 | 50件 |
| 6 | 殺人未遂 | 38件 |
| 7 | 殺人既遂 | 32件 |
| 8 | 保護責任者遺棄 | 28件 |
| 9 | 児童買春・児童ポルノ法違反 | 23件 |
| 10 | 性的姿態等撮影 | 17件 |
児童虐待事件の検挙では、傷害と暴行が特に多くなっています。
児童虐待事件・被害児童の年齢ランキング
| 順位 | 年齢 | 令和6年人数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 13歳 | 227人 | 8.4% |
| 2 | 14歳 | 219人 | 8.1% |
| 3 | 11歳 | 202人 | 7.5% |
| 4 | 15歳 | 198人 | 7.3% |
| 5 | 9歳 | 196人 | 7.3% |
| 6 | 10歳 | 189人 | 7.0% |
| 6 | 12歳 | 189人 | 7.0% |
| 8 | 7歳 | 179人 | 6.6% |
| 9 | 8歳 | 175人 | 6.5% |
| 10 | 16歳 | 159人 | 5.9% |
児童虐待事件の被害児童は、13歳、14歳、11歳、15歳、9歳などが上位です。
児童虐待事件・加害者関係ランキング
| 順位 | 加害者関係 | 令和6年人数 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 1 | 父親等 | 1,937人 | 72.2% |
| 2 | 実父 | 1,233人 | 46.0% |
| 3 | 母親等 | 745人 | 27.8% |
| 4 | 実母 | 704人 | 26.2% |
| 5 | 養・継父 | 438人 | 16.3% |
| 6 | 父親側の内縁 | 140人 | 5.2% |
| 7 | 父親側その他 | 126人 | 4.7% |
| 8 | 母親側その他 | 20人 | 0.7% |
| 9 | 養・継母 | 17人 | 0.6% |
| 10 | 母親側の内縁 | 4人 | 0.1% |
児童虐待事件では、父親等が72.2%、母親等が27.8%となっています。
このデータを見ると、家庭内の嫌がらせや暴力は、単なる「家庭の問題」ではなく、子どもの安全と命に関わる問題だとわかります。
8. 分野別「嫌がらせ・支配・暴力」件数ランキング
ここまでの公的データを、分野別に並べると次のようになります。
全国で見た「嫌がらせ関連」件数ランキング
| 順位 | 分野 | 件数 |
|---|---|---|
| 1 | 学校のいじめ認知件数 | 769,022件 |
| 2 | 警察への児童虐待通告児童数 | 122,378人 |
| 3 | DV相談等件数 | 94,937件 |
| 4 | 職場のいじめ・嫌がらせ相談 | 54,987件 |
| 5 | ネットいじめ | 27,365件 |
| 6 | ストーカー相談等件数 | 19,567件 |
| 7 | 児童虐待事件の被害児童数 | 2,700人 |
| 8 | 児童虐待事件の検挙件数 | 2,649件 |
| 9 | 私事性的画像被害の相談等件数 | 2,128件 |
| 10 | いじめ重大事態 | 1,405件前後 |
このランキングを見ると、「嫌がらせ」は職場だけの問題ではないことがわかります。
学校、家庭、恋愛関係、SNS、子どもへの虐待など、いろいろな場面で、形を変えて現れています。
9. では、本当に「嫌がらせが多い地域」はどこなのか?
ここで、もう一度大事な点に戻ります。
職場の嫌がらせ相談率では、就業者1万人あたりで見ると、和歌山、京都、三重、大阪、滋賀などが上位に出ました。
しかし、これは
「その地域の人が嫌がらせをしやすい」
という意味ではありません。
正確には、
働いている人の数に対して、労働局に“いじめ・嫌がらせ”として相談された件数が多い
という意味です。
学校いじめも同じです。
文部科学省は、いじめ認知件数が多い学校について、初期段階のいじめも含めて積極的に認知し、解消に向けたスタートラインに立っているものとして肯定的に評価しています。
つまり、数字が多い地域や分野は、
問題が多い地域
である可能性もありますが、同時に、
問題を見つけやすい地域
相談しやすい地域
見える化が進んでいる地域
である可能性もあります。
ここを間違えると、ランキングが地域差別や偏見につながってしまいます。
10. 読者が一番理解すべきポイント
この記事で一番伝えたいことは、ランキングそのものよりも、次の視点です。
嫌がらせは、見えないところで起きやすい。
職場では、上司や同僚との力関係。
学校では、子ども同士の閉じた関係。
家庭では、外から見えない支配や暴力。
恋愛関係では、別れ話の後の執着や監視。
SNSでは、匿名性や拡散性。
児童虐待では、子どもが助けを求めにくい構造。
こうした問題は、表に出にくいものです。
だからこそ、相談件数や認知件数が増えることは、必ずしも悪いことだけではありません。
むしろ、隠れていた問題が見えるようになってきた、という側面もあります。
大切なのは、数字の多い地域や分野を叩くことではありません。
本当に大切なのは、
嫌がらせを早く見つけ、相談につなげ、深刻化する前に止めること
です。
まとめ:ランキングは「誰かを叩く道具」ではなく、問題を見える化する地図
今回、公的データをもとに、職場、学校、家庭、ストーカー、児童虐待、私事性的画像被害まで、嫌がらせに近い問題をランキング形式で整理しました。
その結果、見えてきたのは、次のことです。
職場では、件数だけでなく就業者数あたりで見る必要がある。
学校いじめは、認知件数が多いことを単純に悪いとは言えない。
DVは女性被害が多いが、男性被害も一定数ある。
ストーカーは20歳代女性に多く、元交際相手が大きな割合を占める。
ネットいじめや性的画像被害は、現代型の深刻な嫌がらせとして増えている。
児童虐待では、心理的虐待と面前DVが大きな問題になっている。
ランキングは、地域や誰かを悪者にするためのものではありません。
本来は、
見えにくい問題を見える化するための地図
です。
そして、見える化された問題をどう受け止め、どう防ぎ、どう相談につなげるか。
そこにこそ、この記事の本当の意味があります。
嫌がらせは、我慢すれば消えるものではありません。
見つけること。
言葉にすること。
相談すること。
記録すること。
そして、必要な支援につなげること。
それが、職場でも、学校でも、家庭でも、SNSでも、被害を深刻化させないための第一歩です。



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