何が変わるのか(要点)
Amazon(KDP)は2026年1月20日から、**DRMを適用しない(DRMフリー)**に設定されたKindle本について、認証済み購入者(verified purchasers)がEPUB/PDF形式でダウンロードできる仕組みを提供します。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
これは「Kindle端末/アプリで読む」以外の選択肢が広がる一方、著者側はDRM設定をどうするかで“守り”と“広げる”のバランスを考える必要が出てきます。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
読者がダウンロードできる条件
KDP公式ヘルプで明確にされている条件は次の通りです。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- ダウンロードできるのは、DRMフリーが確認された本のEPUB/PDF Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- ダウンロードできる場所は、Amazonの**「コンテンツと端末の管理(Manage Your Content and Devices)」** Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- 購入した認証済み購入者のみがアクセス可能 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- Kindle Unlimited(KU)など“借りた”利用は対象外(本がDRMフリーでもEPUB/PDFのDLは不可) Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
つまり、KU読者がEPUB/PDFでファイルとして欲しい場合は、(借りるのではなく)購入が必要、という整理になります。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
既刊(すでに出版済み)での注意点:自動では有効にならないケースがある
特に重要なのがここです。
- 2025年12月9日以前に「DRMを適用せず」に出版していた既刊は、自動でEPUB/PDFダウンロードが有効になりません。有効にしたい場合は、KDP側で明示的に選択・確認する必要があります。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- DRM設定は本ごとに個別更新で、一括更新は不可 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- 変更を出版してから読者側へ反映されるまで24〜72時間かかる場合があります Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
著者向け:DRM設定の確認・変更手順(やることだけ)
KDP公式の手順を、著者目線で噛み砕くとこうです。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- KDPにログイン → 本棚(Bookshelf)
- 対象本の「…」→ 電子書籍のコンテンツを編集
- 「原稿」セクションで デジタル著作権管理(DRM) を探す
- 選択:
- DRMをONにしたい → 「はい。DRMを適用」 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- DRMをOFFにして、購入者のEPUB/PDF DLを許可したい → 「いいえ(DRMを適用しない/PDFまたはEPUBでDL可)」を選び、確認チェックを入れる Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
- 「保存して続行」→ 価格設定ページ下部の 「Kindle本を出版」 で反映 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
メリット(著者にとって)
1) 読者の利便性が上がり、購入の後押しになり得る
DRMフリーにすると、購入者がEPUB/PDFを入手でき、Kindle以外の端末・アプリでも読みやすくなります。読者の「買いやすさ」や「所有感」にはプラスです。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
2) ロイヤリティ率や支払い体系は変わらない
KDP公式ヘルプでは、DRMの有無でロイヤリティや支払い体系は変わらないと明記されています。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
3) KUの“借り読み”がEPUB/PDFで持ち出される心配はない
KU等で借りた読者はEPUB/PDFをダウンロードできないため、「KUの読まれ方がこれで崩れる」タイプの話ではありません。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
デメリット・注意点(著者にとって)
1) 無断転載・海賊版リスクは上がりやすい
DRMフリーでEPUB/PDFが提供されると、ファイルの取り扱いが容易になり、流出時の拡散スピードが上がる可能性があります(DRMが万能ではないにせよ“壁”は下がる)。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
2) 一度“DRMフリー期間”にダウンロードされたファイルは回収できない
公式ヘルプにある通り、後からDRMをONに戻しても、すでにDLされたEPUB/PDFには影響しません。これは運用上かなり大事なポイントです。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
3) 既刊は作業負担が出る(本ごと・反映待ちあり)
本ごとに更新、反映24〜72時間、一括更新不可。冊数が多いと地味に効きます。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
実務的なおすすめ戦略:本を“守る用”と“広げる用”で分ける
あなたが言っていた通り、**「拡散されても致命傷になりにくい本だけDRMオフ」**は、かなり堅実な運用です。KU読者はEPUB/PDFを落とせないので、「KU収益が直接食われる」方向にも行きにくいです。 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1
DRMオフが向きやすい例(広げる用)
- 体験談・エッセイ・導入編(シリーズ1巻目など)
- 低価格帯の入門書、認知獲得が目的の本
- 書籍が“広告塔”になって、別商品(講座・コミュニティ等)に繋がる設計
DRMオンが向きやすい例(守る用)
- ワークシート、テンプレ、チェックリストなど「素材」として使えるもの
- 具体的手順・ノウハウが中核で、転載が売上に直撃しやすい本
- 高価格帯の専門書・マニュアル
参考リンク・参考文献(一次情報中心)
- Amazon KDP ヘルプ(日本語)「Digital Rights Management」 Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング
- Amazon KDP ヘルプ(英語)「Digital Rights Management」 Kindle Direct Publishing
- TechCrunch(2025年12月10日)KDPのDRM/EPUB/PDF提供変更の報道 TechCrunch
- INTERNET Watch(2025年12月15日)日本語での概要報道 INTERNET Watch
僕もセルフ出版しているので、今回の変更はけっこう気になっています。
もし「電子書籍をPDFやEPUBでダウンロードできたら助かる」「ワークシートやチェックリストを一緒にダウンロードできたら嬉しい」など、読者としての希望があれば、ぜひコメントで教えてください。今後の本づくりの参考にさせてください。
- 1. Amazon Kindle ダイレクト・パブリッシング+1 https://kdp.amazon.co.jp/ja_JP/help/topic/GDDXGH9VR22ACM8U
- 2. Kindle Direct Publishing https://kdp.amazon.com/en_US/help/topic/GDDXGH9VR22ACM8U
- 3. TechCrunch https://techcrunch.com/2025/12/10/amazon-changes-how-copyright-protection-is-applied-to-kindle-directs-self-published-ebooks/
- 4. INTERNET Watch https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/2071209.html

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