寝ても疲れが取れない。家の中は静かなのに、頭の中では確認が終わらない。
こうした状態が続くと、「睡眠時間が足りないのだろうか」「自分が考えすぎているのだろうか」と、自分だけに原因を探してしまうことがあります。
けれど、脳が休まらない主な原因は一つではありません。睡眠不足、生活リズム、寝室環境、心身の病気、薬、カフェインやアルコール、ストレスなど、さまざまな要因が考えられます。そして僕自身の経験から、もう一つ見落とされやすい要因があると考えるようになりました。それは、誰かの嘘によって「何が起きたのか」「危険は終わったのか」を確定できない状態が繰り返されることです。
この問題をまとめたKindle本『嘘で隠された攻撃のある家庭では、なぜ脳が休まらないのか』が、Amazonの出版手続き上の審査を経て2026年8月11日に発売されました。現在はKindle版980円で販売され、Kindle Unlimitedの読み放題にも対応しています。

そして2026年9月7日、Amazonの商品ページで「星5つ中5つ・1グローバルレーティング」と表示されていることを確認しました。最初の高い評価をいただけたことを、心からありがたく思っています。なお、現時点では文章付きのカスタマーレビューは0件であり、評価数や平均値は今後変わる可能性があります。
脳が休まらない主な原因は、一つではない
「脳が休まらない」という感覚だけで、原因を決めることはできません。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」や、米国国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute:NHLBI)の情報を踏まえると、少なくとも次のような可能性を分けて考える必要があります。
1.睡眠時間と生活リズム
単純な睡眠不足、就寝・起床時刻のばらつき、夜勤や交替制勤務、長い昼寝などは、睡眠と覚醒のリズムを乱すことがあります。寝床に入っている時間が長くても、途中で何度も目が覚めていれば、十分に休めた感覚を得にくくなります。
2.光・音・温度などの寝室環境
夜間の光や騒音、暑すぎる・寒すぎる室温、寝る直前までのスマートフォンやテレビなども、眠りを妨げる要因になりえます。まずは「眠るための環境」が保たれているかを確かめることが大切です。
3.カフェイン、ニコチン、アルコール、運動不足
カフェインやニコチンは覚醒を強めます。アルコールは寝つきをよく感じさせる場合があっても、夜間の睡眠を乱すことがあります。日中の活動量が少ないことも、睡眠に影響しうる要因です。
4.不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害
大きないびき、睡眠中の呼吸停止、息苦しさで目が覚める、朝の頭痛、日中の強い眠気などがある場合は、睡眠時無呼吸症候群なども考える必要があります。睡眠時間だけを増やしても改善しないことがあるため、医療機関での確認が重要です。
5.身体の病気、薬、ホルモンの変化
甲状腺の問題、痛み、呼吸器症状、そのほかの身体疾患、服用している薬、妊娠や更年期に伴う変化などが睡眠に関係することもあります。疲れが長引くときは、「心の問題だけ」と決めつけないことが大切です。
6.不安、抑うつ、トラウマ反応、対人ストレス
強い心配や対人関係の緊張は、不眠の危険を高めます。米国国立精神衛生研究所(National Institute of Mental Health:NIMH)は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)でみられる覚醒・反応性の症状として、緊張して警戒した状態、集中困難、入眠や睡眠維持の困難などを挙げています。ただし、眠れないからといってPTSDだと判断できるわけではありません。
誰かの嘘で「問題の終了」を確認できないとき
僕が本書で注目したのは、単に「嘘を聞くと嫌な気分になる」という話ではありません。
何かが起きた。被害を受けた人が反応した。けれど、その前にあった行為は否定され、反応した側だけが問題にされる。同じことが形を変えて繰り返されても、事実確認によって状況が正されない。
このような環境では、一件を確認しても安心できません。「本当に終わったのか」「次は何を守る必要があるのか」という確認が残るからです。僕の場合、これは自分が危害を受けることへの怯えだけではなく、人や動物、生活の安全と健康を守るために注意を切れない状態でもありました。
米国のミシガン大学、カリフォルニア大学バークレー校、ワシントン大学の研究者による2021年の系統的レビューは、200件を超える研究を検討し、身近な社会関係の質と睡眠が関係することを報告しています。一方、多くの研究は相関を示すもので、因果の向きを断定できないという限界も明記されています。
したがって、「誰かの嘘が脳を直接壊す」「嘘こそが疲労の唯一の原因だ」とは言えません。ここで述べているのは、反復する嘘、否定、隠蔽、責任のすり替えによって現実と安全を確定できないことが、対人ストレスや警戒を長引かせ、結果として休みにくさに関係する場合がある、という慎重な見方です。
僕が経験した二つの時期は、分けて書いた
子ども時代、僕が経験したのは、被害を受けてもその事実が状況を正す力を持たず、逆にやっていないことを僕がしたとされ、悪者や加害者のように扱われることが、形を変えながら長く続く環境でした。嘘をつく側が力を持ち、真実や事実確認が役に立たないと感じる時間が積み重なりました。
一方、動物や生活の安全をめぐる問題は、子ども時代の家庭ではなく、僕が二十代になってからの家族とは別の同居人関係で経験したものです。大切なものの安全が損なわれかねない出来事があり、やめてほしいと伝えても否定され、形を変えて続きました。そのため僕は、周囲の小さな変化に注意を向け、安全を確かめ続けるようになりました。
二つの時期に共通していたのは、単発の事件ではなく、嘘、否定、隠蔽、責任のすり替えが長期的に繰り返され、問題の終わりを確認できなかったことです。本書では、具体的な出来事をすべて並べるのではなく、「なぜ確認が終わらず、家が休む場所でなくなるのか」という構造に焦点を当てました。
疲れが取れないときに、確認したい四つのこと
- 睡眠時間、途中で目が覚めた回数、昼間の眠気、カフェインや飲酒を1〜2週間記録する。
- いびき、呼吸停止、強い日中の眠気、長引く不眠や体調不良があれば医療機関へ相談する。
- 対人問題は「確認できた事実」「自分の解釈」「感情」「身体反応」「守る必要があるもの」に分けて記録する。
- 現在も安全上の不安がある場合は、相手との話し合いだけで解決しようとせず、信頼できる人や公的な相談窓口、医療など外部の支援を優先する。
原因を一つに決めつけるのではなく、身体、睡眠、生活、対人環境を分けて確認する。そのうえで、必要な場所に助けを求めることが大切です。
家庭を「問題が起きても安全へ戻れる場所」にするために
本書は、誰かに診断名を付けたり、家族を一言で悪者にしたりするための本ではありません。研究で確認されていること、僕自身の体験、そこから考えた仮説を分けながら、家庭の「分からなさ」を減らす方法をまとめました。
何が起きたのかを消さない。誰の行為で、誰にどの責任があるのかを分ける。問題が起きた後は、謝罪と修復を行い、終わったことを終わったと分かる状態にする。子どもやペットの生活リズムと安全を守る。
完璧な家庭ではなく、問題が起きても現実を確かめ、安全へ戻ることのできる家庭。そのための具体的な視点と記録方法を知りたい方に、読んでいただければ幸いです。
本書と本記事は、医学的・心理学的な診断や治療の代わりになるものではありません。症状が続く場合や生活に支障がある場合は、医療機関などの専門窓口にご相談ください。
参考資料
- 厚生労働省「睡眠対策/健康づくりのための睡眠ガイド2023」
- 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「不眠症の原因と危険因子」
- 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「不眠症の診断」
- 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「睡眠時無呼吸症候群の症状」
- 米国国立精神衛生研究所(NIMH)「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」
- ゴードンら「健康な集団における睡眠と社会関係:系統的レビュー」(Sleep and Social Relationships in Healthy Populations: A Systematic Review, 2021)
参考文献・外部リンク
- 01. Amazonで『嘘で隠された攻撃のある家庭では、なぜ脳が休まらないのか』を見る https://www.amazon.co.jp/dp/B0H2YD74P8
- 02. 厚生労働省「睡眠対策/健康づくりのための睡眠ガイド2023」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/suimin/index.html
- 03. 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「不眠症の原因と危険因子」 https://www.nhlbi.nih.gov/health/insomnia/causes
- 04. 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「不眠症の診断」 https://www.nhlbi.nih.gov/health/insomnia/diagnosis
- 05. 米国国立心肺血液研究所(NHLBI)「睡眠時無呼吸症候群の症状」 https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/symptoms
- 06. 米国国立精神衛生研究所(NIMH)「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」 https://www.nimh.nih.gov/health/publications/post-traumatic-stress-disorder-ptsd
- 07. ゴードンら「健康な集団における睡眠と社会関係:系統的レビュー」(Sleep and Social Relationships in Healthy Populations: A Systematic Review, 2021) https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33596514/



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