
はじめに
僕が伝えたいのはシンプルです。戦争が生むトラウマは、とてつもなく重い。しかもそれは心の深いところ――“無意識の穴”に残り、かたちを変えながら世代を越えて受け継がれます。だからこそ、社会全体で「内側と向き合う時間」を確保し、政治・制度がそれを後押しする必要があると思うのです。臨床研究でも、戦争や極度のストレスが次世代の心身に影響し得ることを示す知見が積み上がっています。PMC+1
なぜ“無意識”に残り、連鎖するのか
戦争や深刻な暴力体験は、ただ「怖い記憶」として残るだけではありません。ストレス反応のシステム自体(ホルモンや自律神経)が過敏・過少反応に偏ることで、感情や身体の調整が難しくなる――そんな長期的変化が起きます。近年の研究では、親のトラウマが養育のあり方や胎内環境を通じて子に影響するだけでなく、ストレス関連遺伝子のエピジェネティックな変化(遺伝子の“読み取り方”の癖)を介して世代間に影響が及ぶ可能性も議論されています。確定論ではありませんが、十分に注意を払うべき重要な仮説です。PMC+1
「暴力はかたちを変えて流れる」――家庭内で起きること
公的な暴力が日常から姿を消しても、毒は別のかたちで流れ込みます。たとえば、戦争で心に深い傷を負った祖父が、未消化の苦痛を抱えたまま父を厳しく支配し、その父から僕に心理的な虐待や支配が及んだ(過去)――そんな連鎖は珍しくない。研究でも、逆境的体験(ACEs)や親世代のトラウマが、次世代の不安・うつ・対人暴力リスクの上昇と関わることが示されています。osg.ca.gov+1
僕のケース:非行は「壊す」ためでなく「守る」ための抵抗だった

僕自身、父からの心理的な支配に対して、十代の頃非行に走って抵抗しました。もちろんそれは誉められた行為ではありません。でも今ふり返ると、「自分の心を守るための最後のブレーキ」でもあった。あの時、僕は“毒”を内側に飲み込んで閉じるのではなく、「ふざけるな」と外に押し返した。
その後、時間をかけて感じきる練習(安全な場所・時間を決めて感情と身体感覚に向き合う)と意味づけ(書く・語る)を続ける中で(サヨナラ・モンスターの取り組み)、僕の中の暴力的な衝動は薄れていきました。今は子猫をはじめ弱い存在を大切にできる自分がいる。僕は、自分の世代でこの連鎖を断ち切れたと実感しています。
僕は戦争トラウマによる世代間連鎖の悪影響を断ち切った。天涯孤独になったけど、心理的に断ち切った。そう言えます。
連鎖は“自然現象”ではなく、介入できるプロセスだ。抵抗とケアの設計で、流れを変えられる。
「社会レベルの向き合い」が必要だと思う理由
戦争の影響は個人だけでなくコミュニティの暴力や不安定さとして滲み出ます。武力紛争にさらされた地域では、戦禍そのものに加えて、日々の生活ストレス(住居・仕事・人間関係の不安)が長く続き、メンタル不調が慢性化しやすいことが指摘されています。PMC
日本国内でも、ここ数年は通報犯罪件数の反転増など、体感治安を揺らすニュースが目立ちました(長期的には日本の凶悪犯罪は国際的に見て低水準のままです)。また、SNSで集められる“匿名で流動的な犯罪グループ(闇バイト等)”の台頭など、従来と違う形のリスクも指摘されています。個々の無差別刺傷が続いたように見える時期もありましたが、これが統計的な上昇トレンドかは慎重に判断が必要だ、とする報道もあります。重要なのは、不安が膨らむときほどデータで落ち着いて見ることです。Nippon+2警察庁+2
政策への提案:人が“内側と向き合う時間”を持てる社会設計へ
「内側と向き合う」には、時間と安全が要ります。僕はベーシックインカム(あるいは条件の少ない現金給付)の導入・拡充を提案します。世界の実証では、無条件現金給付が不安・うつの軽減などメンタル面に短期的な改善をもたらすことが複数報告されています(たとえば米国ストックトンの無条件給付RCT)。長期の持続効果や制度設計の最適化には議論が必要ですが、「心の余白を確保する」方向性としては有力です。PubMed+1
じゃあ、僕たちは何をすればいい?――実践ガイド(やさしめ)
- 安全な“容器”をつくる:1人で20分、静かな場所で、スマホをオフ。終わったら軽く歩く。
- 身体からはじめる:呼吸を長めに吐く/足裏を感じる/肩を下げる。言葉は後でいい。
- 書く・語る:ノートに「いま感じていること/守りたかったもの」を箇条書き。信頼できる相手1人にだけ話すのもOK。
- 翌日レビュー:「昨日より呼吸が少し広い?」を指標に。うまくいかない日は、それでいい。
- 必要なら専門家へ:フラッシュバック・解離・自傷衝動などがあるときは専門支援へ早めに接続を。
まとめ
- 戦争トラウマは重く、無意識の深部に残り、世代間で“かたちを変えて”流れる。
- それでも、個人の抵抗とケアの設計、そして社会制度の後押しで、連鎖は断ち切れる。
- 僕は非行という拙い抵抗から出発し、感じきる実践で暴力の芽を小さくしてきた。いま、弱い存在を大切にできる心が根づいている。
連鎖は運命じゃない。僕たちが向き合うと決めた“今日”から、流れは変わる。
参考リンク(読みやすい順に)
- APA(米国心理学会):世代間トラウマが脳・ストレス反応に与える可能性の解説。apa.org
- 総説(Yehuda ほか):トラウマの世代間伝達とエピジェネティクスのレビュー。PMC
- 戦争トラウマと子世代:戦争退役軍人のPTSDと子どもの心理特性の関連。PMC
- エピジェネティクス概説:ストレス関連遺伝子のメチル化変化と世代間影響の可能性。PMC
- 武力紛争とメンタルヘルス:戦争が個人・コミュニティの心の健康に残す長期影響。PMC
- 日本の治安データ:犯罪動向(2024警察白書ダイジェスト/法務省犯罪白書)。警察庁+1
- 報道:無差別刺傷への不安と“増加傾向かは未確定”という指摘。The Japan Times
- 無条件現金給付(ストックトンRCT):メンタル・家計のアウトカム。PubMed
- 所得とメンタルヘルスの因果:レビュー。ランセット
補足(表現について)
本文ではあなたの個人的体験を一人称で残しました。公開先や読者層に合わせて匿名化・トーン調整(たとえば「非行」は「反発的な行動」に言い換え)も可能です。必要なら見出し違いのタイトル案も用意しますよ。
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