今回は、自動思考とスキーマ、そしてプラス思考になる方法について書きたいと思います。このページに訪れた方は「自動思考」について知りたい方もいると思います。自動思考は認知療法においても重要な概念です。認知療法とは、認知の歪みを修正することで症状を軽減していく精神療法です。
認知療法の有効性は確かめられつつある精神療法の1つで、認知療法は、外来治療の適応となるうつ病において、一定の治療効果が報告されている数少ない精神療法の1つです。つまり、中々治療効果が報告されないうつ病に認知療法が効果的だと報告されている良い精神療法ということです。うつ病以外にも効果的です。
そんな認知療法の概念で「認知の歪み」、「スキーマ」、「自動思考」というものがあります。今回は、こちらの3つをご説明させていただきます。
認知の歪み
まず「認知」とは、その人が物事をどう捉えていくかの捉え方の事(解釈の過程)を「認知」と言い、五感を通した「知覚」も「認知」に含まれています。この認知が歪んでしまっているのが「認知の歪み」で、無意識のうちにされる歪んでしまった考え方のクセのことです。
認知のゆがみについては以下の別記事も併せてご覧下さい。
スキーマ
うつ病の原因にもなる認知の歪みは、スキーマが関係しています。スキーマとはたくさんの「情報の纏まり(まとまり)」のことで、心理学三大巨頭の1人のユングが言った「感情の纏まり(まとまり)」であるコンプレックスと同じような意味です。別の言い方にすれば、人生観、信念とも言えます。つまり、心の深い部分にある「大きなまとまり」のことです。
スキーマは大量の情報・感情で構成されているイメージで、データベースのテーブルの中の情報の纏まりのようなイメージです。そのスキーマが「自動思考」を生成しているのです。その結果、無意識のうちに思考が浮かんでくるのです。
自動思考よりも、このスキーマのほうが自分で知ることは難しいのです。
自動思考
自動思考は瞬間的に浮かんでくる考え方です。例えば、いきなり考えてもいないのに「目の前の人がなんか嫌だ」とか「おいしいものを食べているときに贅沢してはいけない」という感じで浮かんでくる考え方を自動思考と言います。無意識のうちに考えてしまう事は誰にでもありますよね。それが自動思考です。
先ほどご説明をした「スキーマ」が、この「自動思考」を生み出しているのです。
ということはマイナスのスキーマがあると、無意識のうちに自動で次から次へとマイナスな思考を生み出してきて、その結果マイナスの感情を増やすと言う事になっているのです。逆にプラスのスキーマがあればプラス思考を無意識のうちにどんどん生み出してくると言う事です。なので「プラス思考トレーニング」のように、毎日くり返して無意識に情報や感情、イメージなどを蓄積させることが大事になります。
そして自我が弱くなり脳の機能低下が起こると、このスキーマが表に出てきて、 より無意識で自動思考を増やしていきます。そうすると認知の歪みが更に増えて、周囲にも認知の歪みの影響を与えてしまうようになっていくのです。
このスキーマを修正すればよいのですが、そんな簡単な問題ではなく、下手に扱うと悪化することもあるので慎重に失敗しないように行わないといけないのです。
まずは見えない隠れた問題となるスキーマの実態を見つけるために、連想法を使ったり、 相手との関わりから自動思考を長期的に見て記録し根気よく見つけます。このスキーマを相手から感じ取れてしまう人はイメージしやすいのですが、それを相手に伝えても相手が自覚できていないので「勝手なこと言わないでよ!決めつけないで!」と言いたくなってしまうのです。目に見えないものですから、スキーマの全体像をはっきりイメージすることは難しいのです。
大事なのは、そのスキーマをの繋がりを無意識から引っ張り出して、本人に再評価させます。再評価する時に認知の歪みの10パターンに当てはまらないようなバランスの取れた解釈が大事なのです。
しかし、自我がしっかりしていない人に行う事は危険で、攻撃してきたり自傷行為などが起こることもあります。ですので自我をしっかりさせる事が大事なのです。つまり下手に無意識の領域へ足を踏み入れるものではないのです。ですので、無意識に踏み入れないで行う認知療法のほうが安全と言えます。自分自身の向上と気付きを増やしていけば安全に変化していけますね。
あがり症の方も「自動思考」を変えるという事が改善においてとても大事です。あがり症で悩んでいる方は「緊張のメカニズム」を理解してから「自動思考」も理解すると、理解が深まりますよ。あがり症を癒すには理解を深めることです。
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